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カラハリの夜明け - Masa a Kgalahadi: Dawn of Kalahari -

ボツワナにJICA SVとして派遣される記録

針刺し事故とその対応について

ボツワナHIV罹患率が23%と言われており、HIVが大きな社会問題である。

本日、ロータリークラブの例会に参加した帰りにコンビと呼ばれる日本のバン(主にハイエース)を改造した旅客バンで帰路についたのだが、ここで問題が発生した。

運転席と助手席に2、その後ろに3+3+3+4で無理やり座るために、かなり無理がある設定な上にシートベルトが無い。
走り出した時に壊れかけのドアが開いちゃったりするので危険極まりない。
乗車する人たちは比較的貧しい階層の人たちなので、座った場所によっては車内でスリに遭う可能性もあるし、外から引ったくりに遭うこともたまにあるらしい。

バス停のように街中に停留所が設けられていて、だいたいその辺で乗り降りをするが運転手次第ではオンデマンドで乗り降りもさせてくれる。それどころか指定路線を越えて走るコンビに出くわすこともある。

コンビに乗るならタクシーにしよう…これまで何度かコンビに乗ってみたけど、安全面から今はそんな風に思う。

 

閑話休題、本日の問題。

乗ったコンビで奥の席に座っている人が降りるので、手前に座った自分が立って出してあげることになるのだが、席に戻る時に座席の肩部分に手をかけたところ、指に針が刺さった。

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#親指と人差し指の間に見えている背当てクッションを留めているであろうステープルの針先。

これは間違いない、罠だ!!!

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#薬指の先端に刺さりました

この誰でも刺さりそうなところに針が出ていて、所得の低い階層が利用するコンビでその針に刺さったというところから、感染症の心配をした。

日本ならば、こんな傷はどうでもいいことだが、ここはHIV罹患率が非常に高いボツワナなのだ。あまり笑い飛ばせない。

肝炎と破傷風はワクチン接種を済ませているがHIVのワクチンはまだ無いのだ。

調べてみると暴露後予防内服という方法があるのだという。

血液・体液曝露事故(針刺し事故)発生時の対応 | エイズ治療・研究開発センター

 

そんな事は何も分からない状態で、とりあえず、すぐに血を吸った。痛くなるほど吸って吸って、少しでも血液と一緒に出るものがあればと思い吸った。石鹸も水道も無いので洗うよりも吸うしか思いつかなかった。

次にJICA事務所に連絡をした。
「とりあえず病院に行ってください。費用は出ますのでご安心ください」とのことで、一旦は寮に戻り、背広から着替えてタクシーに乗って、Life Gabrobe Private Hospitalに向かいました。

ボツワナの病院事情ですが、今まさに医療事情改善を目指してボツワナ大に医学部が設置されたりしています。そして国が比較的裕福なので医療費の補助が多く、公立病院では安く診療を受けることができます。そのため、多くの人が公立病院に行くことになり、待ち時間がとてつもなく長くなっているそうです。
一方でPrivate Hospitalと呼ばれる市立病院はいわゆる自由診療専門病院になるため、費用が桁違いに高くなりますが、金持ちしか来れなくなるため、待ち時間が短くて済みます。
医療技術レベルでは公立病院も私立病院も同じ程度のようです。

受付ではパスポートを見せてと言われ、電話番号を訊かれました。さらに身元保証のために2人のボツワナにいる人を教えろと言われました。

それが終わるととりあえず着いてくるように言われて行った先がERのトリアージ(治療前判別)室です。
なるほど、確かにワンストップシステムとしては間違っていない気もしますが、ER…なのかな? 向かいにはトラウマ処置室があったりします。

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General Nurseのトリアージを受けると、「コンビで針が刺さったの? それは汚いわね」という反応。現地の人でもそういう反応をされるのがコンビなんです。
アレルギーは無いか、糖尿病などの既往症、手術歴は無いかなどを訊かれたら、少し待つように言われて、待っていると診療室に通されます。
医師に針刺し事故のあらましを説明をすると、確率が高いとは言えないものの、危険性が無いとも言えない状況なので、ARV(抗レトロウイルス薬)の処方を勧めますとのこと。
そのためにはHIV検査と肝臓、腎臓の検査をしたいというので、トラウマ(外傷)処置室で血液を抜かれ(もちろん針とシリンジは使い捨てタイプ)、名前だけ書いた自分の血液が入ったチューブと検査要請書を持ってラボ(検査室)に自分で持って行きます。

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#トラウマ処置室、ベッドの上に使われた後の使い捨てシーツなどが生々しい。

ボツワナでは、病院に入っているラボなどのユニットはそれぞれが独立しているのでそれぞれのところで登録が必要になり、支払いも生じます。病院という大きな屋根の中に、独立したセクションや専門医が店子として入っているイメージです。

ラボからの指示が無いのでERに戻ると「何か言われた?」とドクターに訊かれたので、ラボに戻って結果が出るのがいつかを訊きます。およそ30分とのことで、ここはとても早い。

30分が経ったのでラボで結果を受け取ると(受け取りサインや本人確認は無し)、それを持ってERのドクターに手渡しします。
ちなみにHIVはこの時点では即時検査で陰性でした。

ドクターが受付が指示をするので座って待つようにと言うので待っていると受付から処方箋と費用請求がありました。

処方箋を持って薬局に行くと、また登録があり、お薬をもらっておしまいです。
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#処方されたのはATRIPLAというARVです。

 上に貼ったPEPの推奨を見ると本剤は入っていませんが、その理由は日本では未認可の薬だからのようです。

調べてみると

http://jp.wsj.com/layout/set/article/content/view/full/476957

アトリプラは、ギリアドの「ツルバダ」(一般名:エムトリシタビンとテノホビル)と米ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(NYSE:BMY)の「サスティバ」(一般名:エファビレンツ)の合剤。

ビジネス・企業 / グラクソと塩野義の抗HIV薬、ギリアドのアトリプラ上回る結果 / WSJ日本版 - jp.WSJ.com

という記事が見つかったので、エファビレンツはよく分からないものの、アメリカでは一般的な3剤合剤で、安心していいのかな。

 

何れにしても、今回の件で針刺し事故を経験してみて思ったのは、どんな時でも大事をとって適切な対応をすることが必要だということだ。
その結果としてリスクをかなり低減することは可能な場合もある。

もちろん針刺しにあわないことが大切だが、どんなところにリスクが隠れているかは誰も分からない。

良い経験ができたと思いたい。