カラハリの夜明け - Masa a Kgalahadi: Dawn of Kalahari -

ボツワナにJICA SVとして派遣される記録

EEASA Conference 2017 in Maun

Enviuronmental Eucation Association for Southern Africaの年次大会がボツワナのホストでMaunで開催されている。

まず、ここに来るまでの道のりが大変だった。
Local Organizing Committeeとして会議に参加するも、会議の場で議論が盛り上がり、物事がなかなか決まらない。会議も興にのってくるとセツワナ(ツワナ語)で喋られるので、私のコミットメントなんかほとんどできない状況でフラストレーションが溜まっていた。
しかし、この委員会(元となるのはボツワナ環境教育推進委員会)のおかげで、それまで接触の無かった他のNGOの人と交流を持つことができたし、行政がどれほど細分化してしまってハンドリングが難しくなっているのかなども見えてきた。とはいえ、行政の問題を改善するなんてことはとてもできる問題ではないので、何もしようがないのですけれども。

そしてもう開催2週間前だというのに、なかなかアナウンスが来ない。どうやらCPには招待状が行っていたようだが、共有できていなかったようだ。
そしてそのタイミングで会社の体制転換となる代表の辞任があり、にわかに社内がドタバタしだして、EEASAの話どころではない雰囲気になってしまった。会社の課題は財政問題なのだが、財政問題を解決させるためにもネットワークを構築し、活動を活性化させなければならない。しかしそのためのお金が無い。
今回も派遣費用がねん出できないという問題にぶち当たったのだが、それが判明したのが開催4日前の水曜日。
あわてて書類をそろえて、JICA事務所に業務費用申請を行って、なんとか自分の参加費用を確保できたのが金曜日。この機会を逃すと南部アフリカ近隣諸国の環境教育の実情にコミットしている教育者たちとネットワークする機会を失うのでこっちも必死だ。
ところが最終的にCPは代表辞任に伴い組織再編のために情報共有と活動計画を立てなければいけないという事で、派遣されるのは自分だけになってしまったが、まあ仕方ない。
さらに予算的になんとかなることが判明した時点で登録費を支払おうとしたが、銀行が電子送金を受け付けてくれない。
「記入された口座名称が不適切です。姓と名の間にスペースを入れてください。」
っておい、口座名はEEASAだよ!!! 姓も名もないんだよ!!!
最後に土曜日のフライトも日曜日のフライトも確保できない。全部予約で埋まってしまっている。こうなると仕方ないので長距離バスで移動するしかない。

そんな混乱もあって日曜日の早朝5:30出発のバスに乗って10時間揺られてMaunに到着。
日曜日の夕方は特にやることもなく過ぎていった。

<Day1>

バスが壊れたとかなんだとかでかなりの人数が会場に到着できていない状況。

5つの発表会場のうち、Session1の第1演題からスタートできた会場は「無し」、第2演題から開始したところが第4と第5会場、第3演目からはほとんど開始できたようだが、この歯抜け状態に驚いた。
しかし歯抜けだけじゃない。自分は第3演題から第1会場に参加させてもらっていたのだが、どういうわけか第3演目が終わった時点で「プログラムには載っていませんが、発表者がいるので引き続き発表をお願いします。」と第3.2演題、第3.3演題が発表される。いったいどうなっているの?

聴かせてもらったのは南アのMpumalanga地区の環境教育プログラム導入の話で、Pre-Schoolでは水の問題、Primaryでは持続可能な学校庭の利用から学ぶ、Secondaryでは地球温暖化問題のLiteracy教育という形でやっており、その中でも焦点を水と空気と土に絞って理解を促進しているというプレゼン。

オカバンゴデルタのパンハンドル地域で地域密着型教育(Place Based Education)をやってみましたというプレゼン。

ザンビアのCopper Bell Universityから、サブサハラ地域における再生可能エネルギー、特に太陽光エネルギーとバイオエネルギーの可能性についてというプレゼン。

以上の4つを第1セッションで聴くことができた。
ここまで聴きながら思ったことは、環境教育に限らないことだが、何かをやった時に、その効果測定をやろうとしていないのではないかという疑問だ。
そんなに定量的に取れなかったとしても、たとえ定性的な観測とその感想でもいいのだが、なんでそれをやってみたのか、そしてやる前と比較してやった後にどのような変化が生まれたのか。そこからどうやって広げていくのかという考察が足りていない。
もしかしたら自分が理学部出身で統計的な評価をするのが基本だと思っているから、自分が浮いているだけなんだろうかと思いつつ、常に質問をぶつけながら休憩時間になった。

そして第2セッションが始まると自分が参加しようと思っていた部屋は誰もいない。訊くと演者がいないらしいとのこと。
仕方なしに誘われるがままに隣の部屋に入って聴いたのが
「Waste Segregation in School Itumeleng Primary School」という演題で、正直言うと教師がこういうことをやってみましたよというあまり興味を持たない内容ではないかと思っていたのだが違った。すごい!!!

まず演者が教師ではなかった。スライドショーを示しながら生徒たちが次々に2-3スライドを担当して発表する。堂々としていて間違えることもなく、英語の発音もとてもきれいで聞きやすい。「まじで小学生!?」と言いたいところだが、目の前にはキラキラしながら喋る小学生が確かにいる。

彼らが発表したのは小学校でゴミが散らかっていていたのを、ゴミの分別をすることによってゴミを資源に変えたこと。
教育があるから彼らはこういったことに気づけて今があるのだということ。良い未来をつくるためには今やらないといけないということ。
小学校のゴミ分別の取り組みに合わせてその地区のゴミ回収が無分別から7分別という分別回収をするパイロット地域になったということ。
同じようなゴミ分別プロジェクトがいくつかの学校で実施されていて、自分たちはこれが自分たちの学校だけではなくすべての学校に広がっていくことを願っているということ。
今は学校がきれいになって緑も増えたこと。
このプロジェクトを達成したことでプレゼン大会で優勝したことやパソコンをもらえたこと。
そんな発表を聴いて、正直言って感動した。

ボツワナはいまだにゴミの分別回収をほとんどやっていない。分別回収とリサイクルをやると決めてはみたものの、そこから数年、やるやる詐欺状態で本当にいつやるんだろうという謎がずうっと自分にはあったが、動いているじゃないかと、しかも子どもがやっているってことは大人がやらない言い訳を蹴っ飛ばしてくれるじゃないか!

質問で「家庭でも分別廃棄をしていますか? ここにいる大人たちは分別廃棄をしていないかもしれないんだけれども、皆さんからどうしたらいいかアドバイスすることはできますか?」と訊いたら、
「このゴミ分別というのは学校でやれば終わりというものではないです。家庭や地域でもゴミ分別をやらないといけません。」
「まずは自分たちで責任をもって行動することです。」
などと大変示唆ある答えが、会場にいた大人たちに響いたことを願いたい。
また「このプロジェクトは単に環境教育という枠の中なのか、それとも例えば効果測定をするために計算をしてみるというような総合的学習の側面を意識して取り入れているのか」という問いをさせてもらったところ、
「環境教育は総合的な学習という位置づけでカリキュラムに組み込まれており、プロジェクトの中でいかに教科を組み込んでいくのかということを要求されている」との回答をもらった。すごいじゃん、ボツワナ進歩的じゃない!!!

彼らはもっと多くの大人の前で誇りをもって、彼らの取り組みを発表すべきだと思うね。そして本当にすぐにボツワナの全学校で同じ取り組みを始めるべきだと思う。

「未来を守るために、自分たちが守らなければいけないのはみんながいるこの地球なんだと思います。だからみんながこの地球を守るために何をしなくてはいけないかと考えて行動していくことが必要なんです。」
小学生にこんなこと言われて、地球を守ろうとしていない大人は恥を知りなさいって思いました。

最後に「なんでこんな取り組みが小学校でできているのに、大人の社会は、ボツワナは国としてゴミの分別回収ということができないのか、知っている人はいますか?」と会場に投げかけたところ、
「小学校の取り組みからGaboroneのBlock3で分別回収のパイロット事業が始まったように、そこから多くの地域がゴミの分別回収を開始する動きを見せていると思う。もうすぐ全国に広がると理解している」という回答をもらった。
一方で「ゴミの分別廃棄をしても、今の状態では回収業者が一緒くたにして持っていくだけで意味がない。だからゴミをゴミではない何かにリユーズするような活動をやっている。」というコメントももらったが、それってリサイクル産業が無いという言い訳でもあるので、「ということはボツワナにはリサイクル産業を興す余地があるという事なんですよね。」と確認してコメントを閉じさせてもらった。

今夜はウェルカムパーティー、小学生の発表を聴いたおかげでなんだか楽しい夜になりそうです!