カラハリの夜明け - Masa a Kgalahadi: Dawn of Kalahari -

ボツワナにJICA SVとして派遣される記録

2016年度4次隊が出発するにあたってのアドバイス

同期の仲間に触発されて書いてみる。
主に荷物について。
 
JICAボランティアとして任国に行く時に持っていくもの。衣服は特殊なものを除けば現地で買える。現地で買うと安いし現地に馴染める。
高級品の類はあまり売っていない。それらが日本から持っていく物になるが、そのチョイスが腕の見せ所。
 
  • 靴はかさばるので、売っている国なら減らした方がいい。
ボツワナでは靴は売っている。日本よりも安い。自分は自転車用のクリート付きシューズが欲しかったのでこれは持ってきた。これは正解だったと思う。
 
スマホについて、詳しくない人はみんな悩むところ。
 
  • iPhoneユーザーはおとなしくiPhoneを使い続けるべき。
AndroidのUI(使い勝手)はiOSユーザーからしたら不出来でイライラする。SIMロックのかかった端末は現地では使えないのでSIMロック解除をできる端末(iPhone6S以降のモデルで新品からオーナーになって180日以上の使用履歴がある端末)じゃなかったら買い換えよう。SIMロックフリーの端末はAppleストアの通販で買える。今注文すれば明後日には届く。
 
AndroidユーザーはUIに慣れているのでSIMロックがかかっていないならそのままでいい。
ただし端末の対応周波数バンドが任国のものと一致していない場合は使えない。台湾旅行では使えたからアフリカでも使えるはずというのは大きな誤解。国によって地域によってキャリアによって携帯電話の使用周波数(テレビのチャンネルをイメージしてほしい)は異なっている。
多くの日本仕向けモデルは日本のチャンネルにはすべて対応するようにしているが、海外のチャンネルは省いているものが多い。
 
  • 現地のスマホでもライトユーザーは困らない
ヘビーユーザーではない人やスマホにしていない人は、逆に任国で安いスマホを買えば困らないし、アカウントも新たに任国で作ればFacebookも途上国用のアプリFacebook Liteが使えたりして便利かもしれない。
ヘビーユーザーなら、グローバルモデルで対応バンドが多いモデルを買おう。
具体的に言うならASUSブランドとGoogleブランドだが、GoogleのPixelは今のところ日本では売っていない。
 
  • チャットツールでLINEを使っている人はWhatsappを使うようにしておこう。
LINEは日本とタイと台湾だかフィリピンぐらいでしかマーケットをとれていないので、海外の人とやり取りするチャットアプリはWhatsappが主になる。任国に合わせて今のうちにアプリになれておくと良い。LINEは世界の中では田舎でしか使われていないアプリなのだと理解しておこう。
 
  • ナイフが便利。
とりあえずOpinelの#7前後のサイズを一本持っておくと何かと便利。切れないナイフでケガをすることを減らせる。砥げる環境にあるなら炭素鋼でもいいが、砥げるかどうか不明ならステンレスがいい。

↓Yodobasi.comのリンク
https://goo.gl/kn6g2W


 
  • プライヤーが便利。
マルチツールを持っていくならプライヤーが付いているLeathermanがオススメ。フルサイズでもミドルサイズでもいいがプライヤー付きのモデルがオススメ。スイスアーミーナイフでお馴染みのVictorinoxでもいいが、プライヤーが便利なんです。
 
僕が愛用しているのはCS4、まさにこれ一本でなんでもできる感じ。
 
  • 後で荷物を送るぐらいなら超過荷物にしよう
例えばボツワナまで23㎏の荷物を航空便で送ると4.86万円と2-3週間もかかる。超過荷物ならば2万円で即日持ち込める。
2万円以上の価値を生活にもたらすものであれば迷わず荷物の数を増やすこと。
  • 重量超過をするぐらいなら、荷物を一つ増やす。
重量超過した場合はささいな超過でも重量超過料金を取られる。24㎏で1㎏超過したから6千円払うぐらいなら、いっそのこと荷物を1つ追加して23㎏分持っていく方がコストパフォーマンスが高い。
 
 
  • スポーツグッズはサイズについて特例がある。
スポーツグッズは特例としてサイズは大きくても超過料金を取られない。重量規制はある。
僕は自転車を専用ケースに入れて23㎏に合わせて送りました。個数超過の2万円と、田舎路線の超過料金(スポーツ用品でも超過を取る田舎航空会社がたまにあります)5千円を支払いました。
 
航空荷物遅延損害補償について
  • 追加保険に入っているなら、荷物遅延損害の補償内容、連絡先と必要になる書類の確認をする。
途上国では荷物の遅延が当たり前に発生しますので、遅延損害補償がついている保険に入っているならば(JICAの共済には付いていませんが共済をカバーする三井住友とAIUの保険には付いています)、補償内容(衣服や靴、化粧品、日用雑貨、医薬品が認められるはず)、必要となる書類(荷物遅延証明)と保険代理店の連絡先を予めメモしておく。
荷物が遅延したことが分かったらすぐに書類の手配をして、ショッピングモールなどですぐに買い物をする。これで当面を乗り切れるのはもちろんだが、5千円~4万円ほどの補償がされるのを利用しない手はない。
JICAの迎えに来たスタッフにきちんと買い物をすぐにするように伝えることも大切。
 
  • カメラは買っておけ。
一眼レフなどの表現の幅が広がるカメラは必需品。自分は渡航前にCanonのEOS Kiss X7を買ったが、買ってよかったと痛感している。スマホのカメラでも記録は撮れるが、表現は難しい。コンパクトカメラでもハイエンド機ならかなり良い写真が撮れる。
また、雰囲気を伝えたいシーンが多いと思うので全天球カメラもオススメ。自分はRICOHのTHETA SCを使っているが大活躍している。
 
  • ブログつけよう
FBでも構わないが、独立したブログを付けておくとよいです。あとで見返すこともできるし、後に続く後輩らにも良い教材になります。
 
  • 要らなかったもの(反省)
自分が持ち込んだ荷物で要らなかったものですが、以下のようなものが持ち込む必要までは無かったなと思っています。
  1. 衣服(任地で買えたから)
  2. 自転車用のジャージ(売っていないと思ってたら売ってた。さすがボツワナ
  3. 登山用具(まさかまともな登山用品まで売っているとは思っていませんでした。)
 
もちろん登山用品などは高いので、持ってきても費用対効果は高いので後悔はしていません。
またボツワナのように発展している地域でなかったら「持ってくるべきだった」と思っていたことでしょう。
ただし、自分は2年間の任期中にアフリカ最高峰のキリマンジャロに挑戦する目的を持っていますので、そういう目的の無い人は特に要らないと思います。
 
 
 
おまけ
  • 日本酒はありがたい
多くの途上国ではおいしい日本酒は入手できません。日本酒好きに限りますが、日本酒を持っていくと何かの時に豊かな時間を過ごすことができます。割れないように注意深くパッキングして持っていきましょう。アルコール類は国によって持ち込みの対応が異なります。一部の国ではアルコールは持ち込みも禁忌です。
ちなみに自分は4合瓶を2本ほど持ち込みました。

*1:国や航空会社によって荷物の重量が20㎏だったり、1つだけだったりするので、費用も含めてちゃんと事前に問い合わせてください。

日蝕 Solar Eclipse

2月26日に金環日蝕がありました。

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☆画像は右記リンクより→2017年2月26日 — Annular Solar Eclipse

 残念ながらボツワナでは完全蝕にはなりませんでしたが、部分日蝕を見ることができました。

ちょうどこの日は移動日でMaunからGhanziに移動です。Ghanziは中央カラハリ地区=沙漠で乾燥していると期待していました。車を運転するCPに「今日は日蝕だから、早めに着いて、日蝕を見られる場所を探そう」と言っていたのですが、朝から曇り空で時折雨がパラつきます。

それでもGhanziまで行けば…と思いましたが、結局曇っていました。しかし太陽の位置を見るとちょうど雲の間から太陽を見ることができそうです。

村はずれの給水塔の前まで行って、時計をみると17:50、太陽を見てみるとすでに左下が欠けています。すぐに撮影機材を用意して、慣れぬ写真機にああでもないこうでもないと四苦八苦しながら撮影をしておりました。

結局、日蝕が撮影できたのはこんな格好。

f:id:masataka2600:20170226180310j:plain☆ズームレンズにサングラスのレンズを二枚重ねて、シャッタースピードを早くし、絞りを絞って、露出を下げて…。

そんな無理をして撮ったのがこちらの写真

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下部左寄りから蝕が始まり

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右に蝕が移動していきます。

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この辺りが最大蝕でしょうか。

f:id:masataka2600:20170227011549j:plainところが雲がやってきて、隠れてしまいます。嗚呼。f:id:masataka2600:20170227011606j:plain

隠れてしまいました。

 

この雨続きの中で雲も多い時に、日蝕を観察できたのはラッキーでした。今年は何かいいことあるぞ!

というかボツワナに来たことがすでにいいことなんですけどね。

ボツワナ1周

2月21日から28日の行程でボツワナ1周の出張に出てきました。

 

行程はざっと3500㎞ぐらい。モザンビークを襲ったサイクロン「Dineo」の影響で、ボツワナ上空に低気圧(Dineo-Exなんて呼ばれてました)の停滞があり、大雨が降り続いた1週間でした。

 

大雑把な行程は以下の地図の通りです。

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https://goo.gl/maps/RUGGvUUJ76y

地図上の日本語表記はおそらく自動翻訳だと思うのですが、まるで発音があっていません。Gaboroneはハボローネですし、Ghanziはハンツィ、Tsabongはツァボンです。

 首都のGaboroneを出発し、A1を北上します。まずMochundiで会議を行いましたが、その後Mochundiは河川の氾濫に見舞われたようです。


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☆MochudiのWild Life事務所でハタオリドリの巣作りを見かけました。このハタオリドリは英語でMasked Weaver、顔が真っ黒じゃないのは若いからか?

 

そしてBotswanaの国家的スタート地点でもあるSeroweへ。Seroweは初代大統領のセレツェ・カーマの部族がいたところで、Botswanaの作家ベッシー・ヘッドが住んでいた町でもあります。ここで一泊しました。

そして次にボツワナ第二の都市であるFrancistownへ行きます。こちらでも小さなコテージに一泊。そしてMasungaに向かいます。

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☆Francistown近郊の検問所付近で露天商がPani(モパネワーム)を売っていました。オレンジ色のはあまり見かけない種類ですが、味は同じでニボシみたいな味でした。マグカップ1杯でP12-15ぐらいが相場ですが、P20払うとか言うと2杯くれたりします。

 

Masungaで会議を行い、MasungaからA3で一路オカバンゴデルタの玄関口になるMaunへ向かいます。道路が閉鎖されるんじゃないかと心配しながら、半分冠水した道路を進みます。右も左も灌木林が水没していて大きな川のようになっています。

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☆丸い土づくりの建物が伝統的な家。

 

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☆続く大雨で道路が冠水していました。Masunga-Maun間のA3道路ですが、我々が通過したこの後に、道路の一部が崩壊し通行止めになっていました。

 

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☆そして冠水した道路の反射が美しいこと!

 

左手には広大なMakgadikgadi pan(マカディカディパン)があるはずなのですが、この時期は雨期で塩湖になっているため、自動車で進入することはできません。「ああ、あの空の下にマカディカディパンがあるんだな」と思うだけです。

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☆あの空の向こうにMakgadikgadi Pan!

 

Spherical Image | RICOH THETA
☆全方位地平線のアフリカらしい景色 #THETA

 

道路わきにゲムズボックやゾウを見て、かなり進んだところでやっとMaunに到着です。ここで投宿、なんだか豪勢なホテルでびっくりお値段は8000円ぐらいでしょうか。

Maunからかなり戻ってKhumagaで会議。こちらは行政官との会議ではなくCulture Villageプログラムのテストサイトになっているので村民らと村の会議場所であるKgotla(発音はコークラ)というオープンスペースで会議を行います。長老がいて、村の代表者らが集まってきて会議をやるのですがセツワナの分からない僕には何を言っているのか2%ぐらいしか分かりません。悔しい! この悔しさが糧になるのですね!

土曜日はオフでMaun観光の予定でしたが、9時に迎えに来ると言っていたCPが迎えに来てくれたのはすでに15時でした。CPのMaun仲間と一緒にドライブを楽しみます。

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☆Island Safari Lodgeからの眺め。時間が遅かったのでボートツアーなどは諦めました。アクティビティのお値段はやや高めです。

 

まずはIsland Safari Lodgeを訪問して、その後にMolemi国立公園に向かう方向へドライブしました。時間が無かったので途中のバッファーゾーンで引き返してきましたが、ゾウとライオンとキリンとシマウマを見ることができました。 

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☆道中で見かけた若い雄ライオン。口周りが血で汚れているので食事後か狩りの後。雄ライオンが単独行動することは少ないので、周囲を確認したがこの時点では他のライオンを確認できず、復路で茂みに潜む雌ライオンを2頭見つけることができた。ライオンがどういった生態でいるのかを知っている人たちが同僚らなので、こういうところを訪問する時はとても頼りになります。

日曜日は移動日、MaunからGhanziに行って一泊。

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☆2月26日は夕方に金環日蝕が南米から南部アフリカで観察できました。完全蝕はアンゴラやPRコンゴあたりでしたが、ボツワナでも半分以上が欠けている様子が確認できました。カメラの太陽用フィルターを持っていなかったため、サングラスのレンズを2枚重ねにして、露出を抑え、シャッタースピードも最低にして撮影してみました。実際はめちゃくちゃ明るい丘の上に来ています。天候は曇りだったのですが、ちょうど日蝕の前後は雲間に太陽が来てくれたため、日蝕の観察はバッチリできました。運が良かったです。

 

Ghanziはサン族のいるエリアです。昔は定住をせずにいた彼らが再定住を政府に支持されて定住化しています。こちらでも会議をして、Tsabongに向かいます。

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☆どこもかしこも緑の草原と灌木林。そして牛、山羊、ロバ、馬! 馬以外は平気な顔して道(都市間高速道路さえも)を塞ぐので、夜の移動は危険がいっぱい。

 

Tsabongは地図上ではカラハリ沙漠っぽい感じで砂漠が広がっているんじゃないかと期待しましたが、こちらも青々と森が茂っていました。草原と森林が青々とはしていますが、私は一応生物学出身なので植生の変化には気づきます。しかし植生が変わろうともどこまでも緑いっぱい。

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☆Tsabongあたりは少しだけ灌木が減りますが、沙漠に近いイメージ…とはなりません。地平線が見えやすいとかそんなところです。 

 

まだ雨期だということと、今年は雨が多く降ったこともあるのでしょう、ボツワナはどこも緑に覆われており、茶色い砂の中に灌木がまばらに生えているイメージは全く間違っていました。もちろんあと3か月もすれば乾季で下草はみんな枯れ、木の葉も落ちるのでしょうが、このシーズンに関しては緑がいっぱいで雨も毎日のように降っていました。

 

Tsabongで一泊したら、Gaboroneに帰還です。これまた500㎞ぐらいある道を移動します。
そこで憧れのフンコロガシと出会うのですが、その話はまた別なエントリーで書かせていただきます。

 

これまで1か月間の現地語学研修で首都に滞在していましたが、一気にボツワナを一周して、野生動物にも出会えて、なおかつ植生の変化にも気づけてとても充実した1週間でした。
惜しむらくは現地語のセツワナが使えないこと。やはり現地の方たちは現地語でコミュニケーションをするので、会議の議事が見えない。地域や参加者によっては英語混じりになるのですが20%ぐらい英語でもそれ以外はセツワナで、しかも英語とセツワナは区別されずに混じりまくっています。文法が異なるのにシームレスに混じり合うことが不思議です。

そのわずかな英語から意図を理解しようと努めますが今の所は無理です。引き続きセツワナのトレーニングをしないといけません。 

プーラ!

カラハリの夜明け ブログタイトル変更

ブログタイトルを変更しました。

これまでの「カラハリまであと13,631km」というのはGoogle Mapでその時に距離を測ってみたところから仮題として採用しました。

ボツワナに到着してから本題をつけようという思いだったので仮題でした。

 

自分の名前は英語圏の人には少し音が多いのでマサと呼んでもらうことが多いです。ボツワナ人は名前にセンテンスをもってく人が多いのでさらに長い人もいるのですが、やはり呼び名は短くするようで、イニシャルを使ってTKみたいに呼び合う人が多かったりします。

 

自分のマサという呼び名はセツワナにも同じものがあってMasa: Dawnになります。

夜明けとかこれから始まるって意味です。ちょうど良いじゃないかと思ったので、自分が迷わないためにもMasaと呼んでもらうことにしました。

 

前置詞がコロコロ変わるので覚えにくいのがセツワナなんですが「カラハリの夜明け」をセツワナにするとタイトルにある通り「Masa a Kgalahadi」になります。
ちなみにKgalaは「乾燥した」でhadiは「母なる」とかそんな意味になるそうです。乾燥した大地を、それでも母と呼ぶボツワナの人たち、いいですね!

 

ブログ名を更新しましたが、今週いっぱいは研修期間で、まだ現場に飛び込むことができません。もちろんカラハリ沙漠で夜明けを見たことはまだ無いのですが、いつかその景色を見てきたいと思います。

針刺し事故とその対応について

ボツワナHIV罹患率が23%と言われており、HIVが大きな社会問題である。

本日、ロータリークラブの例会に参加した帰りにコンビと呼ばれる日本のバン(主にハイエース)を改造した旅客バンで帰路についたのだが、ここで問題が発生した。

運転席と助手席に2、その後ろに3+3+3+4で無理やり座るために、かなり無理がある設定な上にシートベルトが無い。
走り出した時に壊れかけのドアが開いちゃったりするので危険極まりない。
乗車する人たちは比較的貧しい階層の人たちなので、座った場所によっては車内でスリに遭う可能性もあるし、外から引ったくりに遭うこともたまにあるらしい。

バス停のように街中に停留所が設けられていて、だいたいその辺で乗り降りをするが運転手次第ではオンデマンドで乗り降りもさせてくれる。それどころか指定路線を越えて走るコンビに出くわすこともある。

コンビに乗るならタクシーにしよう…これまで何度かコンビに乗ってみたけど、安全面から今はそんな風に思う。

 

閑話休題、本日の問題。

乗ったコンビで奥の席に座っている人が降りるので、手前に座った自分が立って出してあげることになるのだが、席に戻る時に座席の肩部分に手をかけたところ、指に針が刺さった。

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#親指と人差し指の間に見えている背当てクッションを留めているであろうステープルの針先。

これは間違いない、罠だ!!!

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#薬指の先端に刺さりました

この誰でも刺さりそうなところに針が出ていて、所得の低い階層が利用するコンビでその針に刺さったというところから、感染症の心配をした。

日本ならば、こんな傷はどうでもいいことだが、ここはHIV罹患率が非常に高いボツワナなのだ。あまり笑い飛ばせない。

肝炎と破傷風はワクチン接種を済ませているがHIVのワクチンはまだ無いのだ。

調べてみると暴露後予防内服という方法があるのだという。

血液・体液曝露事故(針刺し事故)発生時の対応 | エイズ治療・研究開発センター

 

そんな事は何も分からない状態で、とりあえず、すぐに血を吸った。痛くなるほど吸って吸って、少しでも血液と一緒に出るものがあればと思い吸った。石鹸も水道も無いので洗うよりも吸うしか思いつかなかった。

次にJICA事務所に連絡をした。
「とりあえず病院に行ってください。費用は出ますのでご安心ください」とのことで、一旦は寮に戻り、背広から着替えてタクシーに乗って、Life Gabrobe Private Hospitalに向かいました。

ボツワナの病院事情ですが、今まさに医療事情改善を目指してボツワナ大に医学部が設置されたりしています。そして国が比較的裕福なので医療費の補助が多く、公立病院では安く診療を受けることができます。そのため、多くの人が公立病院に行くことになり、待ち時間がとてつもなく長くなっているそうです。
一方でPrivate Hospitalと呼ばれる市立病院はいわゆる自由診療専門病院になるため、費用が桁違いに高くなりますが、金持ちしか来れなくなるため、待ち時間が短くて済みます。
医療技術レベルでは公立病院も私立病院も同じ程度のようです。

受付ではパスポートを見せてと言われ、電話番号を訊かれました。さらに身元保証のために2人のボツワナにいる人を教えろと言われました。

それが終わるととりあえず着いてくるように言われて行った先がERのトリアージ(治療前判別)室です。
なるほど、確かにワンストップシステムとしては間違っていない気もしますが、ER…なのかな? 向かいにはトラウマ処置室があったりします。

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General Nurseのトリアージを受けると、「コンビで針が刺さったの? それは汚いわね」という反応。現地の人でもそういう反応をされるのがコンビなんです。
アレルギーは無いか、糖尿病などの既往症、手術歴は無いかなどを訊かれたら、少し待つように言われて、待っていると診療室に通されます。
医師に針刺し事故のあらましを説明をすると、確率が高いとは言えないものの、危険性が無いとも言えない状況なので、ARV(抗レトロウイルス薬)の処方を勧めますとのこと。
そのためにはHIV検査と肝臓、腎臓の検査をしたいというので、トラウマ(外傷)処置室で血液を抜かれ(もちろん針とシリンジは使い捨てタイプ)、名前だけ書いた自分の血液が入ったチューブと検査要請書を持ってラボ(検査室)に自分で持って行きます。

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#トラウマ処置室、ベッドの上に使われた後の使い捨てシーツなどが生々しい。

ボツワナでは、病院に入っているラボなどのユニットはそれぞれが独立しているのでそれぞれのところで登録が必要になり、支払いも生じます。病院という大きな屋根の中に、独立したセクションや専門医が店子として入っているイメージです。

ラボからの指示が無いのでERに戻ると「何か言われた?」とドクターに訊かれたので、ラボに戻って結果が出るのがいつかを訊きます。およそ30分とのことで、ここはとても早い。

30分が経ったのでラボで結果を受け取ると(受け取りサインや本人確認は無し)、それを持ってERのドクターに手渡しします。
ちなみにHIVはこの時点では即時検査で陰性でした。

ドクターが受付が指示をするので座って待つようにと言うので待っていると受付から処方箋と費用請求がありました。

処方箋を持って薬局に行くと、また登録があり、お薬をもらっておしまいです。
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#処方されたのはATRIPLAというARVです。

 上に貼ったPEPの推奨を見ると本剤は入っていませんが、その理由は日本では未認可の薬だからのようです。

調べてみると

http://jp.wsj.com/layout/set/article/content/view/full/476957

アトリプラは、ギリアドの「ツルバダ」(一般名:エムトリシタビンとテノホビル)と米ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(NYSE:BMY)の「サスティバ」(一般名:エファビレンツ)の合剤。

ビジネス・企業 / グラクソと塩野義の抗HIV薬、ギリアドのアトリプラ上回る結果 / WSJ日本版 - jp.WSJ.com

という記事が見つかったので、エファビレンツはよく分からないものの、アメリカでは一般的な3剤合剤で、安心していいのかな。

 

何れにしても、今回の件で針刺し事故を経験してみて思ったのは、どんな時でも大事をとって適切な対応をすることが必要だということだ。
その結果としてリスクをかなり低減することは可能な場合もある。

もちろん針刺しにあわないことが大切だが、どんなところにリスクが隠れているかは誰も分からない。

良い経験ができたと思いたい。