カラハリの夜明け - Masa a Kgalahadi: Dawn of Kalahari -

ボツワナにJICA SVとして派遣される記録

キリマンジャロに挑む 準備と装備編

JICAボランティアには任国外旅行という制度があります。

待遇と諸制度【青年海外協力隊/日系社会青年ボランティア】 | JICAボランティア


休暇を利用して最大20日間の任国外旅行を認めるというもので、JICAのボランティアは任地と周囲のまだ知らぬ国々で新たな体験をして今後の活動強化に努めます。

JOCVは行ける国が限られており、だいたい近所の国(ボツワナからだとマラウイ南アフリカケープタウンザンビアジンバブエケニアは行っても良い国リストに含まれるが現地事務所の内規で禁止されたまま)と日本および宗主国ぐらいなものですが、シニア海外ボランティアは制限が無いので少し遠い国に足を延ばすことも可能になります。

アフリカに行くなら登っておきたいと20年来思っていたキリマンジャロに登ることにしました。2017年中に登りたいと思っていたのですが、同期で登る人たちとうまく繋がれず、残り1年というところで二本松訓練所時代の同期で山好き仲間でマラウイ隊員のNさんと計画を立てました。

・先ずは計画、情報収集

計画を立てようにも情報があまりありません。特に日本語になると体験記みたいなものは見つかるのですが、網羅的な情報、分かりやすい地図情報などが見つかりません。地図などもスケール感が分かりません。

頼りになるのは事前に登った仲間の情報です。細かい問合せにも答えてくれます。

今回は山小屋のあるマルンガルート(通称コカ・コーラルート)ではなく、景観と日数優先でロンガイルートで登ることになりました。

www.mountkilimanjaroguide.com

依頼をするツアー会社はNさんの友達がやっているということで、費用はJOCVの隊員らの情報よりも5万円ぐらい高いですが、友達優先ということでそのエージェントを使うことにしました。

行程は長引くほどお金がかかります。今回はロンガイルートで登ってマラングルートで下ってくる5泊6日の行程です。いくつかのサイトを見るとガイドの人数などが決まっているように書かれていますが、どうも絶対にこれと決まっているわけではないようで、ガイドとサブガイドさえいれば、山行スタイル次第ではポーターの数を減らすことも可能なようです。特に特殊な登攀などをする計画などは現地エージェントとよく打合せをして詰める必要がありますし、4名にガイド2名というようなパッケージも不可能ではないはずです(ただし各自が30㎏ぐらいの荷物を担ぐことになります)。

下記リンクはタンザニア公園局の公式に要求するパークエントリーフィーです。費用がここのところ高騰しておりますので、5泊6日でキリマンジャロに入ってキャンプをするだけで690USDがかかります。
http://www.tanzaniaparks.go.tz/images/document-uploads/Tourism/Park%20Tariffs%20for%20NR%20&%20Residents.pdf

さらにガイドとポーターらの入園料、宿泊料などがかかりますので、最低経費で800USD、そこに送迎の車両代、飲食材料費が加わって、さらにガイドに20ドル、コックに15ドル、ポーターに10ドルの最低賃金が支払われますので、あっというまに1500-2000ドルの費用がかかることになります。

今回の行程ではガイド2名(ヘッドガイド+サブガイド)、コック(料理をするが荷物ももちろん持つ)、ウェイター(英語ができるポーターとコックの間ぐらいの立ち位置で登山客の面倒見をする役割)が1名、ポーターが6名のサポーター10名+登山者2名で一人あたりの費用が1750USDでした。これには出発前のオリエンテーリングから下山後の宿泊地帰還までが含まれておりますが、サポーターたちはチップを要求してきます。

チップについては後述する予定です。

<装備について>

元々アフリカに派遣されることになった時からキリマンジャロに登るつもりでしたので、ボツワナまで装備を持ってきておりましたが、冬装備の多くは日本に置いてきました。
必要な装備はレンタルがあるだろうということであまり気にしていませんでした。Moshiの町には中古用品店もあるとのことでしたが、登山客が置いていったような山岳用品ブランドの中古品はほとんど見つかりませんでした。新品を買うためのマーケットも無いので、必要な装備は基本的に事前に準備しておくことが必要だと思います。
レンタルもツアー会社が提供してくれますが、新品価格の1/2-1/4ぐらいの価格でかなり高額になります。
迷ったら富士登山の装備でだいたいOKです。富士山に山肌も近く、気候も頂上までかなり似ています。技術レベルや体力レベルもとても近いです。違うのは大きさと標高ですので、装備にはそれほど影響しないファクターです。

・服装(乾季の8月に登山した場合)
下着はメリノウールを利用することで臭いを抑えることもできますので1セット、万が一の濡れた時用にもう1セットあれば十分です。シャツはロングスリーブで良いと思います。その上に着るアウターシャツ、セーター、ダウンジャケット、ハードシェルのレインジャケットがあれば8月は耐えることができると思います。夜中に寒くなっても-10度程度でしょうか、頂上付近だと昼間でも氷点下ですが太陽光が強く暑いです。

下はメリノウールのアンダーパンツ、コンプレッションタイツはあると楽になりますが、毎日の脱ぎ着が面倒になるかもしれません。私はコンプレッションカフガードだけ持って行きました。防寒用にロングタイツ(比較的厚手のもの)、山用の長ズボン(できれば冬対応のもの)、レインパンツで登りました。
冬山用のアルパインパンツほどは必要になりません。

具体的に自分の装備を書きます。
まず山用の長ズボンですが、自分のミスで干したものを取り込み忘れ持っていくのを忘れました。7分丈のサイクリングパンツ(パールイズミ)を持ってきていたので、ほぼそれで登りました。Nさんから中古で買ったズボン(薄いがライナー付き)を借りたのですが、山登りにはどうしても動きづらいところがあり、登頂時の装備はサイクリングパンツでした。
メリノウール製品はいずれもモンベルのものです。

・下着類
メリノウールパンツ、メリノウールシャツ(ロングスリーブ)、メリノウールソックス

・下半身
ユニクロヒートテックタイツ(ヒートテックが無意味なのはさておき履きやすい)、CEPカフガード、登山用ウールオーバーソックス(予備含めて2対持って行きましたが1つで良かった)、モンベルストームクルーザーパンツ(日の出前などの寒い時のみ)

・上半身
K-WAY・ソフトシェルジャケット(内側が起毛になっている)、ユニクロ・ULダウンジャケット(安いのでガンガン使える)、ミレー・ハードシェルジャケット(レインウェアーを兼ねる)

・頭部
カンボジアで買ったショール(シルクベース)、Buff・ネックウォーマー、Halo・バンダナ(ヘルメット汗止め)、Petzle・ヘルメット(特に危険個所はありませんが、カメラ装着用と安全対策としてかぶっていました)

・靴

他の装備と同じく富士山を想定してください。防水透湿素材のトレッキングシューズがベストだと思います。乾季に限って言えばトレランシューズの方が軽くて良いと思います。ただし、冷え対策と砂の侵入対策があるので、トレランシューズの場合はショートでも良いのでスパッツ(ゲイター)を用意すると良いでしょう。
また頂上付近は残雪が多く、その上を歩くことも多いので、滑り止めを持っていくと良いと思います。滑って転んだら滑落するというシチュエーションでもなく、6本歯のアイゼンだとやりすぎなぐらいです。軽くて携行しやすいゴムスパイクやチェーンの滑り止めがベターだと思います。現地に行く前に装着の確認をしてください。
なおキャンプ地ではサンダルやゴム草履を使います。楽で持ち運びしやすいものを選びましょう。無いといけないものではありませんがあった方が良いです。
具体的にはキャラバンのミドルカットトレッキングシューズを履いていきました。

・その他
手袋は軍手でしたが、フィット感がイマイチなので登頂時のみモンベルのインナーグローブとREIのグローブを使いました。

ヘッドライトは新品電池にして持って行きましょう。必要です。

カメラは持って行くか悩みましたが一眼レフを持って行きました。レンズは単焦点パンケーキと55-250㎜ズームの2本、アクションカメラとしてOMI Camをヘルメット装着してライフログモードで撮影しておりました。もう一つのカメラはスマホのiPhoneX、これだけでもそれなりに写真が取れます。電源としてANKERのモバイルバッテリーを2本持って行きましたが、20000mAhもあれば1本で十分だったと思います。毎晩OMI CamとiPhoneを充電しておりました。最終キャンプのKiboでは外気温が寒くなるため、充電がイマイチだったため、電子機器も暖かくする必要があります(一緒にシュラフに入れるなど)。電子機器と一緒に寝るのはリスクもあるので、自分自身は特に寒くて辛いという事は無かったのですが、電子機器や水用に使い捨てカイロを持って行くと良かったかなと思います。
カメラバッグPaaGo!の3wayチェストカメラバッグ「フォーカス」を利用しています。今回ぐらいの装備(中型一眼レフにパンケーキレンズとズームレンズの2本、モバイルバッテリーとアクションカム)ならば、前に下げられるシステムはとても便利です。また荷物をガイドさんに持ってもらう時にはハーネスを外して肩掛けスタイルやウェストバッグスタイルで持てるので自由が利きます。行動記録のメモも雨蓋に入ります。

水筒はCamelbakの2LハイドレーションパックとNalgenの1Lボトルを持って行きました。Camelbakは便利ですが、最後の登頂中にチューブが凍ってしまいましたので、保温チューブを被せたうえで、息を吹き込んで凍結防止をしないといけません。
CAMELBAK(キャメルバック) アウトドア クラックス 2.0 L リザーバー 1821714

CAMELBAK(キャメルバック) バッグパーツ アンチドート インシュレーテッドチューブディレクター 90779 18890919

 

トレッキングポールは足の負担を軽減し長い登山行程を快適に歩くためにも必ず持って行くべきだと思います。使い慣れていない人は日常の街歩きなどでダブルストックを使ってみて慣れておくと良いかと思います。私はBlack Diamondの折って収納するタイプを持って行きましたが、LEKIでもなんでも良いです。

頭部はHALOやBuff、手拭いなどで複合的に保護していましたが、ラクラーバ(目出し帽)と手拭いが一つあれば十分だったと思います。もちろん日本手拭いはキリマンジャロでも万能です。乾きやすいのが良いです。

防寒、保温対策に!フェイスマスク 目出し帽 サラっとしたサテン生地です

寝袋はインナー用に3シーズン用のペラペラなタイプを持って行きました。これは実際にインナーとして使いました。レンタルで-5度ぐらい対応の寝袋を借りたのでこの2つで十分でした。理想的には-10度対応ぐらいの寝袋にシュラフカバーの組み合わせが荷物も少なくなってベストだろうと思います。
モンベルならバロウバッグの#1か#2です。#3では物足りないと思います。日本で冬山に行かないのであれば#2にシュラフカバーの組み合わせでも十分だと思います。

webshop.montbell.jp

これらの装備を入れるバックパック20Lのデイパックを自分用に、60Lぐらい入る3ウェイバッグをポーター用に準備しました。これぐらいでちょうどいいと思います。60Lはもう少し減らせたかもしれません。雨が降る可能性を考えるとザックカバーはあった方がいいです。ガイドは常にザックカバーを装着していました。

行動食の類はクッキーなどを大量にもらうと聞いていましたが、最終登頂時以外は特になく、ところが最終登頂時には行動食を食べる元気がありませんでした。最終登頂の行程ではCCDなどの水に溶かして飲むタイプの栄養補給が有効だと思います。それ以外は好きな行動食を持って行くようにしましょう。一緒に登ってくれたNさんくれたドライフルーツとナッツ類がアフリカを感じることができて美味しかったです。

グリコ パワープロダクション CCDドリンク 45g×10袋

上記はあくまでも6-9月の乾季の装備です。雨に濡れる可能性が高いシーズンは傘を持って行く(ガイドは傘をいつも持っていました)。

サングラスと日焼け止めは必須です。サングラスはできれば側方も覆うようなスポーツタイプか山用の覆いがついたタイプを持って行きましょう。近視の人は補正レンズ付きで視界を確保してください。自分はRudy Projectにインナーレンズを付けて行きました。夕食時には暗くなるので通常の眼鏡も必要になります。日焼け止めをうっかり塗り忘れると酷い日焼けになります。自分は日焼けで黒くなるのは気にしないのでいつも塗りやすいSPFスコアの低い日焼け止めを使っていますが、スポーツに適しているとうたっている落ちにくい日焼け止めが良いかもしれません。
何度も塗り直していたつもりでしたが鼻が日焼けしていました。唇の日焼け止めが疎かになりがちなのでそちらも注意してください。山岳用品店に行くと日焼け止めリップクリームを売っています。5000mオーバー、赤道直下の紫外線はとても強いです。

とりあえず何かコメントいただいたら、この投稿は加筆修正していくようにしますので、お気軽にコメントください。

大事なことなのでもう一度書いておきます。

キリマンジャロ登山は富士山に似ている

そのつもりで装備などを用意したら問題ないかと思います。