行く前からポストダイヤモンドを考える
ボツワナの貿易輸出で最大なのがダイヤモンドで、政府歳入の実に半分がダイヤモンドというやや歪な構造にある。
実はダイヤモンドという鉱物はその性質から、エネルギーさえあればほぼ無尽蔵に人工生産することができる。すなわちダイヤモンドは資源律速にはならない=経済的な価値が低いはずのものなのだが、ダイヤモンドシンジケートが流通をコントロールしており、経済価値を崩壊させる事はこのシンジケートを敵に戦争をする事になるので、科学的性質はさておき価値が維持されている。
資源律速にはならないとは書いたが、天然ダイヤモンドは鉱山から掘り出すので可採年数の概念はもちろんある。
可採ラインのギリギリになって次の鉱脈が見つかるというゴニョゴニョの可能性もあり得るが、国家の計で取らぬ狸の皮算用はすべきでは無いだろう、ましてやダイヤモンドシンジケートの壁の向こうの話をや。
そんなわけでボツワナのダイヤモンド可採年数はあと20年とも言われている。
独立が50年前、ダイヤモンド鉱脈発見がその翌年(この辺がゴニョゴニョな感じ)。ここまでダイヤモンドの資源でボツワナは平和な経済成長を遂げてきた。
しかし20年後には無くなる収入は、他の収入に移行させねば成り立たない。
その時に考えねばならないのはサステナビリティだが、幸いな事にボツワナは人口が少ないので、サステナブルなアプローチを達成する事は(人口問題の観点では)難しくは無い。
水が少ないので、人が住もうにも住めないのだから、このマイナスの人口ボーナスは常に意識すべきだろう。
先ずは観光業。これが基幹になるべきだと考えている。ブータン王国のようなイメージだろうか。
世界有数のサファリエリアであるボツワナは、その多様な自然資源を有効に活かす事でさらなる高級サファリリゾートになれる。
自分は誰もが触れられる自然である必要は無いと思っている。登山が学習と技能習得、準備を要求するように、サファリツアーも金を払うか、学ばなければ触ることができないような仕組みにしても良いのでは無いだろうか。
次に農業を考える。
現在は牛がメインだが、地球温暖化の影響でボツワナはさらに砂漠化が進行する恐れがある。
植物ではスイカが有名だが、甘くて美味しいスイカを作る事は可能だろうか。これについては鳥取大農学部が共同研究をしているので、話を訊いてみよう。
油桐のジェトロファもJICAのプロジェクトで研究が進んでいる。
他にも乾燥に強く、緑化に繋がる作物を考えなければいけない。
畜産は牛のままで良いのか? 牛は投入エネルギーに対する利得エネルギーが小さいので、もっとサステナブルな畜産が発展しても良いかもしれない。
例えばダチョウ。ダチョウと言えば友人の加藤(ダチョウと読む)さんがやっているので、機会が作れたら嬉しい。
兎にも角にも220万人しか人口がない国なので、大量生産で戦う経済では中国などに翻弄されてしまうのが目に見えている。
小回り利かせて、質の高い高級路線に舵を切らなければポストダイヤモンドのボツワナは低所得の田舎に舞い戻ってしまうだろう。
先輩隊員からは、暖かい(熱い)気候な事もあってか、あまり労働意欲が高く無いと聞くが、二世代の時間がかけられるので、急ぎつつも慌てずに、教育を変化させつつ平和で持続的なボツワナを成長させる力になりたい。
アフリカの成功事例とよく呼ばれるのがルワンダだ。「ルワンダの奇跡」なんてよく言われる。
しかし奇跡なんてのは、だいたいが必然でしかない。
ルワンダの奇跡と呼ばれる必然的な変化を知るとヒントが隠れているかもしれない。