カラハリの夜明け - Masa a Kgalahadi: Dawn of Kalahari -

ボツワナにJICA SVとして派遣される記録

公用旅券

ここのところ不在で受け取れていなかった公用旅券と飛行機のチケットが届きました。
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公用旅券は日本の政府公用で海外渡航する際に使う旅券で、一般的な旅券と色が違います。具体的には一般旅券5年が紺、一般旅券10年が臙脂、公用旅券が松葉色(深緑)です。これ以外に外交特権をもつ外交旅券というものがあり、焦げ茶色の旅券になります。

JICAのボランティアも国の任務でボランティアになりますので、公用旅券になります。
一般旅券ももちろん大切なのですが、公用旅券は命の次に大切だと思えとJICAでは教育を受けました。公用旅券=公人なので影響力が大きいということと、JICAは外務省そのものではないことから、気をつけろという事なのでしょう。

 

僕がもらった旅券の官職には

SENIOR VOLUNTEER, JICA

と書かれています。がんばってきます!

 

JICAボランティアでもJOCVの旅券には渡航先が記載されており、記載されていない国への渡航は禁じられています。SVの旅券には

THIS PASSPORT IS VALID FOR ALL COUNTRIES AND AREAS

と記載されており、渡航制限がありません。

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これは大きな違いだと思いますが、任国外旅行でもそれほど遠い国や治安の悪い国に行く予定はありません。

しかしボツワナのJOCVは、隣国のナミビア渡航することが禁じられています。ナミビアのJOCVはボツワナ渡航することが可能です。同じような非対称性がラオスカンボジアなんかでもあります。ラオスからはカンボジアに行けない。

この渡航可能国の決まりについてはどのような経緯で決まっているのか、私は知りません。謎です。

 

旅行会社を通じて旅券やビザ、航空券の手配をすることがあまりないのですが、届いてみると至れりつくせりで、旅行代理店って便利ですね。

 

出発まであと2週間、まだ荷物はパッキングできていません。

環境問題の根

先日、横浜市長表敬訪問時にもらったPETボトル詰めの水。

アジア開発銀行の年次総会記念ラベルなのだが、その下を見ると違和感を感じる。

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ボトル詰め水が不要な国で、ボトル詰め水を製造させ、流通させる事が炭酸ガスの排出に他ならないわけではなかろうか?

 

そもそもカーボンオフセットのためにビン詰め水を使うのはどうなんだろうか。

炭酸ガス排出権取引の仕組み自体が、省エネに向かわせるのとは逆行した取り組みになってはいないだろうか。

 

僕は水道水が飲める国でビン詰め水を買うことにはいつも罪悪感を覚えます。

 

環境問題はいつも根となる問題と、今を同時に考えなければいけない。

神奈川県知事表敬訪問

本日は神奈川県知事の表敬訪問。

横浜市長は名代に副市長を立ててきたが、県知事は短い時間だが自ら出てきた。

なるほど、これは大きな違いを感じる。

 

神奈川県は巨大自治体なので派遣者数も多い。SVも含めておよそ30名弱。

駒ヶ根訓練所と二本松訓練所でそれぞれ違う場所にいた人は互いをあまり知らないのだが、OV会が主催してくれる壮行会までは時間があるので、どこかでお茶でもしましょうと見回したら二本松訓練所のメンバーしかいない。

なんなのこれ?

 

実はこれまでにも度々感じていたのだけれども、国際性ある人たちではあっても、「知らない人とは馴染まない、異質な人とは馴染もうとしない」日本人的なムラ社会っぽい行動がかなり見受けられる。

ムラ社会が悪いわけでは無いし、これに馴染めるってのは日本人の踏み絵みたいなものなので、彼らの行動こそが人文学的に考えれば組織を守り発展させていった原動力なのだが、僕のような組織優先では無い人には「もったいない」と思えてしまう。

 

まるで知らない人たち、社会の中に入っていくのに、これで大丈夫なのだろうかと少し心配になる。

もちろん、途上国のほとんどが日本も驚くほどの保守主義な国が多く、彼らと馴染むためには新しいムラ社会に入っていく事になるのだろうが、異質なものを混ぜる力は常に求められていると思う。

https://theta360.com/s/mdhsYtIOS0PMUh88T2MysdNOm

写真は神奈川県庁新庁舎ロビーにて。 

 

 

そして壮行会が始まると、驚いた事に喫煙する人がいる!!!

麻薬取締法には含まれないが、強烈な依存薬であるニコチンは、呼吸器及び循環器をはじめ、疾病リスクを上げる事はよく知られているが(日本のJTは「因果関係は無い」と未だに言っては呆れられている)、貧困を助長する事も知られており、いわゆる貧しい人から小銭を巻き上げて飢餓や犯罪を生み出す収奪装置だというのは世界の共通理解にしないといけない。

もちろん違法で無い以上は喫煙をするなとは言わないが、少なくとも受動喫煙防止のために飲食店が分煙ないし禁煙を義務付けられた日本では、吸わせる違法店も問題だが、吸う方も情報弱者だと言わざるを得ない。

吸わない人がいるところで受動喫煙を強要するのはいかんだろう。というか、私に受動喫煙させないでほしい。

 

2年後に帰ってきた時には、現在議論されている“飲食店全面禁煙”の規制が現実になっていれば良いなと思うのだが、そう思う理由はまさにコレ「受動喫煙を強要する現状」が原因だ。

 

そして見回すと、またしても若い人たちだけで固まって座る。やはり異質な人とは馴染もうとしない心理がどこかで働いているのかもしれない。

オッサンらは面倒臭いと思われているのもあるかもしれないけれども、OVと積極的に交流を持とうとしないのは勿体無い。

 

壮行会の二次会は、近所の喫茶店に入り、お酒無しでそれぞれの経験談や婚活問題などを話したりしてました。

ここに参加したのは僕だけでしたが、それだけ濃い時間で楽しかったです。

 

 

明日はJICA浜松を訪問して、夜は東海地方の友人と飲み会です。

壮行会ラッシュになりますが、くれぐれも飲みすぎたりしないように、安全と健康第一で新年を迎えたいと思います。

 

どんどん広げよう、繋がろう。

 

在日本ボツワナ大使館 表敬訪問(2回目)

在日本ボツワナ大使館へ表敬訪問に行ってきました。

2016-3rdのボツワナ隊員のうち3名ほどで。

大使館からは参事官と書記官が対応してくれました。

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先ず自己紹介。

ソフトボールでボツワナに行くAさんは、セツワナで大変喜ばれていました。

あ、そうか、挨拶ぐらいなら覚えておくべきだった!!!

 

ポストダイヤモンドの話をする中で、参事官が言うには一次産業から二次産業へ、もっと人を増やして投資を呼び込みたい…という話がありました。

あれ、それって僕が小学生の頃に学校教育で言われてきた事と一緒だな。でも日本はスケールばかり追いかけて笑顔を失ってしまったんじゃなかろうか。そんなことを思い出しました。

 

経済原則のように言われているのが、継続的な成長が健全な経済だという事だが、これには大いに疑問がある。

マイナス成長やゼロ成長を目指した企業の話はググればいくつか見つかる程度に出てきている。

経済はちょうどいいサイズを維持しようとする事で、量から質への転換が起こっていくものではなかろうか。

 

人口が多い事は経済成長にはボーナスになるが、人口が少ない事は持続可能性についてはボーナスになる。

 

だから、人口が220万人という今の規模でもっとも幸せになる方向を探さなければ、ボツワナも将来的に不幸(笑顔が消えたり、犯罪が増えたり)になりかねない。

 

犯罪についても、ハボローネは街だから常に気をつけて暮らさないと危ないと言われた。

人が集まる、ボツワナには隣の国もあって人が入ってくる、そういう人の中には悪い人もいると地図で隣国のジンバブエあたりを指しながら言っていました。

もちろん、僕も気をつけます。

 

一方で、私が考える将来の産業構造は、一次産業と三次産業だ。二次産業が不要ということでは無いが、ボツワナでは持続可能な観光開発を中心に、世界一のサファリを知ってもらう事が望ましいと思っています。

 

ボツワナの観光アピールは何度もやってきているが、なかなか前に進まないこと、何が原因だろうかと訊かれた。

日本語の問題、そしてアフリカの情報がまだ閾値に達していないこと、物理的な距離、などなど。

考えられる事はたくさんあるものの、答えはまだ分からない。それを分析してボツワナ大使館や観光局とも共有していきたい。

行く前からポストダイヤモンドを考える

ボツワナの貿易輸出で最大なのがダイヤモンドで、政府歳入の実に半分がダイヤモンドというやや歪な構造にある。

 

実はダイヤモンドという鉱物はその性質から、エネルギーさえあればほぼ無尽蔵に人工生産することができる。すなわちダイヤモンドは資源律速にはならない=経済的な価値が低いはずのものなのだが、ダイヤモンドシンジケートが流通をコントロールしており、経済価値を崩壊させる事はこのシンジケートを敵に戦争をする事になるので、科学的性質はさておき価値が維持されている。

 

資源律速にはならないとは書いたが、天然ダイヤモンドは鉱山から掘り出すので可採年数の概念はもちろんある。

可採ラインのギリギリになって次の鉱脈が見つかるというゴニョゴニョの可能性もあり得るが、国家の計で取らぬ狸の皮算用はすべきでは無いだろう、ましてやダイヤモンドシンジケートの壁の向こうの話をや。

 

そんなわけでボツワナのダイヤモンド可採年数はあと20年とも言われている。

独立が50年前、ダイヤモンド鉱脈発見がその翌年(この辺がゴニョゴニョな感じ)。ここまでダイヤモンドの資源でボツワナは平和な経済成長を遂げてきた。

しかし20年後には無くなる収入は、他の収入に移行させねば成り立たない。

 

その時に考えねばならないのはサステナビリティだが、幸いな事にボツワナは人口が少ないので、サステナブルなアプローチを達成する事は(人口問題の観点では)難しくは無い。

 

水が少ないので、人が住もうにも住めないのだから、このマイナスの人口ボーナスは常に意識すべきだろう。

 

先ずは観光業。これが基幹になるべきだと考えている。ブータン王国のようなイメージだろうか。

世界有数のサファリエリアであるボツワナは、その多様な自然資源を有効に活かす事でさらなる高級サファリリゾートになれる。

自分は誰もが触れられる自然である必要は無いと思っている。登山が学習と技能習得、準備を要求するように、サファリツアーも金を払うか、学ばなければ触ることができないような仕組みにしても良いのでは無いだろうか。

 

 

次に農業を考える。

現在は牛がメインだが、地球温暖化の影響でボツワナはさらに砂漠化が進行する恐れがある。

植物ではスイカが有名だが、甘くて美味しいスイカを作る事は可能だろうか。これについては鳥取農学部が共同研究をしているので、話を訊いてみよう。

油桐のジェトロファもJICAのプロジェクトで研究が進んでいる。

他にも乾燥に強く、緑化に繋がる作物を考えなければいけない。

畜産は牛のままで良いのか? 牛は投入エネルギーに対する利得エネルギーが小さいので、もっとサステナブルな畜産が発展しても良いかもしれない。

例えばダチョウ。ダチョウと言えば友人の加藤(ダチョウと読む)さんがやっているので、機会が作れたら嬉しい。

 

兎にも角にも220万人しか人口がない国なので、大量生産で戦う経済では中国などに翻弄されてしまうのが目に見えている。

小回り利かせて、質の高い高級路線に舵を切らなければポストダイヤモンドのボツワナは低所得の田舎に舞い戻ってしまうだろう。

 

先輩隊員からは、暖かい(熱い)気候な事もあってか、あまり労働意欲が高く無いと聞くが、二世代の時間がかけられるので、急ぎつつも慌てずに、教育を変化させつつ平和で持続的なボツワナを成長させる力になりたい。

 

 

アフリカの成功事例とよく呼ばれるのがルワンダだ。「ルワンダの奇跡」なんてよく言われる。

しかし奇跡なんてのは、だいたいが必然でしかない。

ルワンダの奇跡と呼ばれる必然的な変化を知るとヒントが隠れているかもしれない。